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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

東京~アテネヒッチハイク競技大会・閉会式

                    ≪十月二十五日≫ ―壱―


   久しぶりの快晴。

まるで我々の閉会式を祝福するかのようだ。

政雄・W君・テッシンの四人で、シンタグマ広場近くにある”N.T.O.G.

(National Tourist Organisation of Greese)”の事務所に向う。

事務所に着いたのが、十二時十五分前。

「十二時までに集合」と言っていた会長本人の姿はまだ見えない。

ビルの5階にある事務所を訪れると、事務員らしき女性がいて、用件が分かっ

ていると見えて、何も言わずしばらく待っているようにとだけ言って消え

た。

   しばらくして、女性が戻ってきた。

別な部屋に通される。

その部屋にはもう一人の女性がいて、何やら英語でまくし立てている。

          女性「遠い日本からようこそ!長い苦難の道を旅され

            て、我々はここにあなた達を歓迎し、記念品の贈

            呈を行なうものとする」

   もっと長くしゃべっていたように思われるが、要するに・・・そんな

ことを喋っていたのだろう。

男性人には壁掛け用の絵皿、女性人にはオリーブの木で出来たネックレスが

記念品としていただいた。

一人一人と握手を交わして、歓迎の記念式典を終了。

感謝の言葉を述べて、部屋を出て階段を下り切った所で会長らに遭遇。

          W君「もう記念品、貰ってきたで!!」

          会長「俺らも貰ってくるわ。午後二時からパルテノン

            神殿前で、閉会式をやるから、それまでに集まっ

            てや皆。」

                    *

   和智会長とその家族と俺の七人で、レストラン”美智子”へ向った。

小さい子供達がいるため、昼食を日本食でと・・・・会長が決めた。

日本風の門をくぐると、正面に二階建ての建物、前に少しばかりの日本庭園

があり、建物の壁にはなぜか鯉のぼりが貼り付けられているだけの、少し陰

気な佇まいを見せている。

そこの庭にある唯一のテーブルに席を取り、最初で最後の昼食会を開いた。

メニューを見ると、ほとんどが一品70~100DR(560円~800円)もするので、日

本から送られてきたお茶漬けを取り出して、注文は日本茶とライスと生卵だ

け。

これで卵ご飯とお茶漬けの二品になると言う昼食会。

ヒッチハイクの旅の終わりにふさわしい優雅な食事となった。

   食事を済ませた後、会長の奥さんと子供達だけを残して、アクロポリ

スに登る。

相変わらず強風が吹き荒れている。

午後二時半、新保君を残して全員集合する。

メンバーは国内大会の十分の一だし、報道陣も少ない?静かな閉会式を迎え

た。

日の丸の国旗とヒッチハイク連盟の旗のもと、賞状の授与と記念品の贈呈及

び記念写真が行なわれる。

表彰が始まった。

優勝、二位、三位、トップ賞、最多国通過賞、最小国通過賞、最多ヒッチ

賞、最少ヒッチ賞、ケチケチ旅行賞、飛行機に乗ったで賞、ブービー

賞・・・などなど。

とにかく、完走した人数より賞の方が多いのだから、なにをか言わんやだ。

この閉会式でのハプニングはなんといっても、パルテノン神殿を警備してい

るおじさんだ。

俺の持っている日の丸と団旗を持って、パルテノン神殿をバックに記念写真

を撮ろうとしている我々を見て、急に怖い顔になり手を振り上げてこちらに

向ってくる。

           警備員「こらッ!お前達、何をしてるんだ!」
 
            我々「・・・・・。」

           警備員「ここでは許可なく、式典などをしてはいけ

              ない規則になっている。すぐにやめなさ

              い!」

             俺「何言ってんだよ!俺達はギリシャ政府観光

              局(NTOG)の許可を貰ってやっているんだから

              な!(嘘)」

   ことを荒立てないようにと言う会長の言葉で、日の丸の旗をたたむ事

になった。

閉会式は強風の中、三十分ほどで終了した。

月曜日のためか、日本人観光客は少ない。

アクロポリスは今日で三回目。

今日ほど、晴れ渡った日はなかった。

表彰式を終えて、ジョセフ・ハウスで宴会を催すことになった。

明日は、新保君と千春がロンドンへ、政雄とW君が日本への帰国の途へ着

く。



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